空気圧をチェックする適切な頻度
あなたのタイヤの空気圧はどのくらいですか?空気圧がメーカー指定よりも低すぎる場合、燃費の悪化や偏摩耗など、様々な問題が生じている可能性があります。インチアップをして低偏平タイヤを使っているなら、なおさら空気圧には気を配らなければいけません。今回の記事では、空気圧を点検する正しい頻度についてお伝えし、そのやり方について解説していきます。空気圧を定期的に確認することで、あなたのタイヤの性能が上がるかもしれません。
空気圧チェックはどのくらいの頻度で行う?
空気圧チェックは、最低でも1ヶ月に1回。偏平タイヤや引っ張りタイヤはそれよりも多めに、2,3週間に1回行うようにしましょう。
空気圧が低下すると何がいけないのか?
空気圧が低下するとタイヤの形が潰れやすくなり、接地面積が増えます。すると転がり抵抗(タイヤが走行する時に地面との摩擦で生じる抵抗)が増加し、結果的に燃費が悪くなるのです。より具体的に言えば、タイヤの空気圧が指定空気圧よりも50kPa(0.5kg/c㎡)不足している場合、燃費は市街地で約2%、郊外で約4%悪化すると言われています。
空気圧が不足してタイヤがぐにゃぐにゃになれば、それだけハンドルが取られて操縦性も悪くなるでしょう。さらに、空気圧不足はタイヤの寿命を縮める可能性があります。タイヤが潰れた状態になることで、タイヤの中央部分より両サイドに偏ってゴムが消費されることになり、偏摩耗を加速させるからです。偏摩耗が悪化すればタイヤを交換せざるを得ないため、結果的にタイヤ自体の寿命を縮めてしまいます。
空気圧不足が引き起こす最も危険な現象は、タイヤの破裂(バースト)です。空気圧が不足したタイヤで高速走行を続けるとタイヤがたわんで大きく変形し、タイヤ接地面後方部が波打つ「スタンディングウェーブ現象」が起きます。その結果、タイヤが発熱しバーストする危険性が高まるのです。
JAFが行ったテストでは、適正空気圧に設定したタイヤは210km/hで走行してもバーストしなかったのに対し、適正空気圧の半分に設定したタイヤは200km/hでスタンディングウェーブ現象が起き、210km/hでバーストしました。このときタイヤ表面温度は110℃に達していたのです。210km/hのスピードで走行することは現実にはありえませんが、高速道路などで長時間走っていると、タイヤが非常に発熱してこれほどの高温度になることはあり得ます。
このように、空気圧が不足することは、タイヤにとって非常にデメリットが多い状態なのです。
空気圧不足のドライバーは意外と多い?
一般社団法人日本自動車タイヤ協会が2016年に実施した検査によれば、高速道路を走る車のうち、およそ27.3%が何らかの理由で整備不良であり、そのうち5台に1台は空気圧不足でした。また、JATMAのデータによれば、乗用車の3台に1台が空気圧不足であるという結果が出ています。
なぜこれほど多くの方が空気圧不足のタイヤを使っているのでしょうか。原因のひとつに、自然漏れによって空気圧が減少していく事実を見落としていることが考えられます。乗用車用タイヤでは、自然漏れによるものだけでも1ヶ月におよそ5~10%の空気圧が低下するのです。「普段はあまり乗らないからそんなに減っていないだろう」という方がこれに当てはまるでしょう。
また、ガソリンスタンドの形態変化も影響があります。以前は給油の度に店員にチェックしてもらえたのですが、最近はセルフのガソリンスタンドが増えてきました。これにより空気圧チェックを行う機会が減ってきているのではないでしょうか。エンジンオイルを交換する時についでに見てもらうという方もいますが、それでは半年や一年に一回になる可能性もあり大変危険です。
このように、情報不足が命取りにもなるタイヤの空気圧。「自分は大丈夫」と思っているあなたのタイヤも、実は危険な状態かもしれません。
空気圧は定期的にチェックする
空気圧が指定空気圧よりも下回ることがないように、日常的に点検することが大事です。頻度としては、最低でも一ヶ月に一回は点検するようにしましょう。
空気圧が減ってくると燃費や操縦性にも影響するので、普段よりも燃費が悪い、走りが重いなどの症状を感じたら、空気圧不足のサインかもしれません。異変を感じたら、すぐにタイヤの空気圧をチェックする習慣をつけましょう。
季節によってタイヤを履き替えた時にも、空気圧は必ずチェックするようにしてください。タイヤの空気は使っていなくとも自然に抜けていき、指定空気圧よりも低くなっていることが予想されるからです。
さらに、インチアップをしたタイヤは、よりこまめに空気圧をチェックしましょう。インチアップをするとタイヤの厚みが減り内部の空気の絶対量も減るため、自然漏れによる空気圧減少の影響をより大きく受けるからです。ホイールをインチアップして扁平タイヤを履いていたり、引っ張りタイヤにしている場合は、最低でも、2〜3週間に1回は空気圧を点検しましょう。
空気圧を自分でチェックする方法
ガソリンスタンドやカー用品店には、自由に使えるエアゲージ(空気圧をチェックする時に使う道具)がおいてあることが多いので、立ち寄った際に自分で点検できます。
ただし無料で使えるエアゲージは、計測に多少誤差があることがほとんどです。ガソリンスタンドなどで定期的に空気圧を点検しているという方でも、意外と指定空気圧よりも低いタイヤだったりすることもおかしくありません。一番確実なのは誤差のないエアゲージを購入して使うことです。
空気圧を高めにするメリットとは?
空気圧を点検する頻度がわかったところで、適切なタイヤの空気圧がどのくらいかを知らなければ意味がありませんね。しかし、「指定空気圧に従うのが良い」「指定空気圧よりも高めが良い」など諸説あるために、どれくらいの空気を入れたら良いのか、混乱している方も少なくありません。
タイヤの空気圧は、基本的には指定空気圧をもとにして入れましょう。指定空気圧はタイヤが正常に働くために自動車メーカーが算出した数字なので、守るのが基本です。それではなぜ、指定空気圧よりも少し多めに入れたほうがいいという意見があるのでしょうか。それは、自然漏れによる空気圧の低下のことを考えたほかにも、いくつかのメリットがあるのです。
空気圧不足はタイヤにとって良いことなし。空気圧点検は最低でも1ヶ月に1回行うこと。低偏平タイヤや引っ張りタイヤはもっと頻繁に、2〜3週間に1回行うのがベスト。
※「あんしん!タイヤ保険」では、「自然劣化や摩耗」「空気圧不足」は補償の対象外ですので、ご留意ください。